マレーシアの修学旅行
 
ケーススタディ
神奈川県藤沢工科高等学校の場合
神奈川の「県立藤沢工科高等学校」は、2004年12月にマレーシア修学旅行を実施しました。同校としてはこれが初めての海外修学旅行でしたが、期待通りの教育効果をあげ、生徒の評判も良かったようです。このため今年もマレーシア修学旅行を継続する予定。同校がマレーシアを選んだ理由や、実際にどのような教育効果を得ることができたのかについて、引率者の一人としてマレーシア修学旅行に参加した総合技術科の池田豊教諭にうかがいました。


国際教育の必要性
Q 海外修学旅行は昨年が初めてだったそうですが?
A はい。昨年のマレーシア修学旅行が当校としては初めての海外修学旅行でした。藤沢工科高等学校は、物づくりを主眼とした教育を柱のひとつとする高校です。これからの職業人には業種を問わず国際的な視点や感覚を持つことも重要な要素となっています。そこで国際理解教育の一環として海外修学旅行を実施することになりました。
ピューター工場で“ものづくり”体験
ピューター工場で“ものづくり”体験


Q 数多い候補地の中からマレーシアを選んだ理由は何ですか?
A ひとつには費用の面から候補地を絞りました。本校の方針として、パスポート取得費用を含む旅行費用を10万円以内に抑えたい考えがありました。そこである程度候補地は絞られます。その中でマレーシアを選んだのには、いくつかのポイントがありました。まず教育目標に適う場所なのかどうか。われわれは「創る」と「異文化」を今回の海外修学旅行の教育効果のキーワードとしており、その点でマレーシアは期待できると判断しました。
対日感情が良い国であることや治安、衛生面で安心できることも重要でした。これは保護者の了解を取る上で一番気を使うポイントです。反日騒動があったり、SARSなどの病気の懸念があったりすると保護者は不安感を抱きます。その点、マレーシアは安心でした。さらにある程度英語が通じるのもプラス。マレーシアが自然環境に配慮した国であることも評価しました。そのような条件を検討した上で、韓国、台湾、オーストラリアといった候補地の中から最終的にマレーシアを選びました。
中国料理やマレー料理は日本人生徒にも好評
中国料理やマレー料理は日本人生徒にも好評


Q 教育効果の狙いについて「創る」と「異文化」の2つのキーワードが挙がりましたが、具体的にはどのような教育効果が得られたのですか。
A マレーシアの方々との交流をメインテーマに、バングリス村のホームビジットを主として、体験学習を行ないました。ホームビジットでは2〜5人の生徒が各家庭に分かれ、その家族達と遊んだり、食事を作ったり、村を見学したり一緒に生活体験を行ないました。言葉は上手く通じなかったようですが、教員の心配をよそに身振り手振りでしっかりとコミュニケーションをとり、気持ちは通じ合えたようでした。別れ際に泣き出す生徒もいたほどです。帰国後の感想文集にもこの体験がもっとも印象的でよかったという声が多くありました。また、バティック工房での布染色、ピューター工場でのトレイ作り、市内自主行動などの自主体験学習。マラッカ、プトラジャヤの見学等、アジアの一途上国について想像していたことと体験することの差異を、身をもって感じてくれたと思います。
マレーシア航空の整備工場を見学。フライトシュミレーターのコクピットの様子に興味津々
マレーシア航空の整備工場を見学。
フライトシュミレーターのコクピットの様子に興味津々



Q マレーシア修学旅行に関する生徒たちの評判はいかがでしたか。
A

生徒たちは初めのうちはマレーシアに関して知識も少なく、「なぜマレーシアに?」という反応でした。しかし修学旅行に先立つ昨年4月と8月に、校内で「マレーシア・デー」を行い、マレーシアに関するさまざまな情報を提供しました。4月は自然・文化・食生活・スポーツ・国際協力などのテーマ別学習を行い、8月にはマレーシアの民族音楽やマレーシアの文化およびイスラムの考え方について学びました。そうした事前の準備もあって関心は次第に高まりました。そして実際にマレーシアを訪れ、高層ビルが林立し高速道路が縦横に走る街並みを見て、アジアの経済発展の様子を体感したようです。
生徒の間で評判がよかったのはホタル観賞でした。マングローブの木々に無数のホタルが光を放つ様子は、まるで電飾で彩られたクリスマスツリーのようで、日本ではあり得ない体験です。2日目に希望者を募って実施したプログラムでしたが、参加した生徒はみな素晴らしい体験だったと感激していました。

ゾウ保護センターでも貴重な体験
ゾウ保護センターでも貴重な体験


 
Q 今回のマレーシア修学旅行の総合評価と今後の課題について教えてください。
A 藤沢工科高校の第1回目の海外修学旅行として、その目的をほぼ達成することができました。現地では観光よりも「学ぶ」、「体験する」ことに重点を置いたプログラムが組めましたし、本校の通常の学習にもかかわりの深い数々の貴重な体験ができました。異文化交流についても異なる国の文化や人々に触れ、生徒が得るものも大きかったと思います。怪我や病気、あるいは食事に起因するようなトラブルもなく、全体としてよい修学旅行になりました。
今後の課題としては、カンポンステイの受け入れ家庭や最終日の同年代ボランティアの内容や意識に若干のバラつきがあることや、現地企業訪問の一層の充実などが挙げられます。本校では今年の12月にもマレーシア修学旅行を予定しており、昨年の反省を活かしつつ、今年の担当教諭らがよりよい修学旅行の実施に向けて取り組んでいるところです。
 
 
 


――ありがとうございました。


資料:神奈川県立藤沢工科高等学校、マレーシア修学旅行日程
1日目 湘南台駅発 08:00 成田空港へ向けて出発
成田空港着 11:30
成田空港発 13:30 マレーシア航空直行便にてクアラルンプールへ
クアラルンプール着 20:05 ホテルへ直行し22:00ホテル着
<クアラルンプール泊>
2日目 午前 クアラルンプール市内半日見学(王宮・国立回教寺院・独立記念碑など)
午後 昼食後、半日希望者別選択コース
A:市内博物館・美術館の見学
B・C:ピューター体験とバツー洞窟
D:マレー護身術の体験
E:バティック体験と洞窟見学
*ホタル観賞は、この日の夜に希望者のみ参加
<クアラルンプール泊>
3日目 午後 希望者別選択コース
A:フレーザーヒル見学
B:マレーシア航空整備工場見学
C:マレーカンポン訪問
D:マラッカ見学
E:クアガンダ象保護区見学
<クアラルンプール泊>
4日目 午前 半日希望者別選択コース
A-1:ピューター体験
A-2:パームオイル研究所見学
B:ゴム研究所見学
C:プトラジャヤ周辺見学
D:森林研究所見学
E:ピューター体験
F:日系企業訪問
午後 昼食後、市内班別自主行動(ボランティアガイド同行)
各班で夕食をとり、19:30に空港にて集合
23:35 マレーシア航空直行便にて帰国の途に

<機中泊>

5日目 成田着 07:05
成田発 08:00
湘南台駅着 11:30 到着後解散

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