ケーススタディ <大阪府立能勢高等学校の場合>

大阪府立能勢高校は今年1月に2回目のマレーシア修学旅行(1回目目は2006年2月)を実施した。すでに来年、再来年の修学旅行の行き先もマレーシアに決定。マレーシア側との連絡の取り方のコツをつかみ、プログラム内容も回を重ねるごとに改善している。メインとなる学校交流の相手校との親睦も深まってきた。同校でマレーシア修学旅行を担当している内田教諭にお話を伺った。


【実施日時】 2008年2月

【参加人数】 76名


 行程表

なぜマレーシアで修学旅行を実施することになったのでしょうか?
 
大阪府青少年財団の交流事業として、マレーシアの青年たちが能勢町を訪れたことがきっかけです。この交流事業は、アジアの人々を大阪府内の各自治体に招いてホームステイや学校訪問などを行うもので、能勢町はその受け入れに参加し、2006年までの数年間交流を続けました。この際にマレーシア青年が能勢町立の小学校・中学校・高校を訪れましたので、本校の生徒たちもどこかで交流した経験があります。そこで、「みんなが接したことのあるマレーシアの人々の国へ行こう」というコンセプトが打ち出されました。

 また、マレーシアは日本に最も近いイスラムの国です。日本ではあまり接する機会が少ないですが、三大宗教の一つであるイスラム教の文化について触れさせたいという目的がありました。すでに、本校では留学生を受け入れており、その中にはマレー系のマレーシア人もいました。イスラム教徒ですから、当然ながら豚を食べませんし、ラマダン(断食)の季節があります。また、一日に何度もお祈りをしますので、昼休みには校内のある部屋を開放してお祈りに使用してもらっていました。そういった留学生と身近に接していたこと、日本とはまったく違う文化であることなどから、イスラム文化に触れられる国を修学旅行先としたのです。

一度行ってみたら、やはり多言語、多文化、多宗教、多民族・・・と、いろいろと吸収できる面が多かったので、このままマレーシアで実施していくことになりました。
 
実施までの準備について教えて下さい。
 
2年生3学期の実施に向け、1~2年次を通して継続的なマレーシア学習に力を入れています。修学旅行は2年間の学習のゴールです。観光型ではなく、基本はあくまで体験と交流。「産業社会と人間」や「総合学習」の時間には、現地の高校生と事前交流を行ないます。パートナーを組んでマンツーマンでメールのやりとりをし、写真も添付して送りあいますから、実際会ったときにはすでに相手のことがよく分かっている状況ですね。
相手校には、メンバーの紹介、本校の紹介、日本の文化や風土、食、京都や大阪の風景、地元の風景などをテーマに、グループ別に作成したポスターも送付しました。

事前学習への取り組みは重要なポイントだと考えています。グループ別プログラムは、今年はマラッカ、FRIM森林研究所、スズ工場、バティック体験の4つでしたが、来年はマラッカと森林研究所の2つに絞ります。これは、マラッカは歴史について詳しく取り上げており、熱帯雨林は植生の専門家の先生に「総合学習」での講演に来ていただけたことから、この2つが事前学習を充分深められると判断したためです。
 
メインプログラムである学校交流はどのように進行しましたか?
 
胸に名札を付けて、まずパートナーの生徒を探すところから始まります。すでにメールでお互いのことは知っていますから、顔を見て「あー!」という感じですね(笑)。その日一日だけではなく、長い付き合いの結果ですから、長年の友達に再会したような気持ちです。

それから午前中のお互いの文化紹介では空手の演武を行なったほか、リズミカルな現代版のソーラン節を全員で踊って見せました(ホームビジットでも実施)。生徒が撮ってきた写真を使い、パワーポイントで学校の様子や大阪・京都の風景も紹介しています。グループでゲームをする時間も設けました。

午後からはパートナーにクアラルンプール市内を案内してもらい、別れるのは夕方。朝から丸一日を一緒に過ごすわけですね。来年は夕食もともにする予定です。初年の交流は午前中だけで、午後からは別の大学生に市内を案内してもらっていましたが、2年目は午後も高校のパートナーとプログラムを続行。そして来年は夜までと、年々学校交流の時間を多く取るようになっています。
交流先の学校はどこで見つけたのですか?
 
交流したアスンタ高校はマレーシアの教育省に紹介され、下見に行って決定しました。受け入れ体制が整っていて印象が良かったので、毎年同校と実施しています。メールでの交流もうまくいっていますね。

今年の5月には担当の先生が用事でマレーシアから名古屋に来られ、その際に新幹線で大阪の本校まで足を伸ばしてくださいました。ちょうどその日に「総合学習」の時間があったのでご登場いただき、生徒達に「来年も楽しみにしています」というメッセージをいただきました。温かいつながりが築かれてきています。
マレーシア修学旅行成功のコツがあったら教えていただけますか?
 
いろいろなことが直前や現地に行ってから決まることが多いですが、大らかにかまえておくのが秘訣ですね。1年以上先のことですとなかなか詳細が決められませんし、ホテルの部屋割りは到着後初めて決まることになっています。質問など現地とのやりとりには時間がかかりますし、学校交流プログラムの順番が当日変更されていることなどもあります。

日本的な感覚で考えると大変ですが、相手にしてみたら当たり前のこと。教員もそれを理解していれば余計なストレスもたまりません。現地のやり方に従うほうがスムーズですね。同じタイプの修学旅行を実施することで、現地も本校も旅行会社も慣れ、対応が早くなり、要領が分かるようになります。

――どうもありがとうございました。


【生徒さんの感想】

◆ホームビジット
家族と触れ合い、マレーシアの普段の生活を学び、料理もおいしかった/最初は緊張してたけど、だんだん仲良くなって別れるのが嫌だった/最初は言葉もわからなくて、すごく戸惑ったり固まったりしてたけど、一緒にマレーシアのゲームをしたりトランプをしたりして楽しかった/みんなの班は楽しんできたみたいだったけど、私の班は家の人が全然しゃべってくれないし、子供たちは遊びに誘っても、ほとんど無視状態。ちょっと気まずかったです/ホームビジットの家族の方が優しくて、とてもよかった。家の雰囲気もとてもよかったし、食事もおいしかった/マレー語しかしゃべれなくて会話がなかったけど、いい経験になった/家はそれほど暑くなく、風通しがよかった。マレーシア料理は一番おいしかった

◆学校交流
アスンタ高校の子はテンションが高くてかなり盛り上がった/英語とか全然わからなくて大変やった。なんとか通じるように頑張った/仲良くなれたし、別れるのが嫌やった。もっと長い時間交流したかった/緊張してて、うまく話せなかったけど、2人とも積極的に仲良くしてくれて、うれしかった/交流が想像していた以上に本当に楽しくて、時間が早く過ぎた。言葉があんまり通じなかったけど、ジェスチャーとかで、いっぱい話すことができた/修学旅行で一番楽しかった。向こうも分かりやすく英語で話してくれたり、こっちも楽にできたし、楽しかった/行く前は一番嫌な感じがしたけど、交流して一番良かった

◆マラッカ
マラッカの街全体がキレイやった/マラッカ遠すぎて疲れたけど、めっちゃ楽しかった。電車が思った以上に怖すぎてビックリした/伝統的な文化の一つ、ババ・ニョニャ文化に初めて触れた。チャイナタウンは中国の繁華街のようで楽しい場所だった/マレーシア(マラッカ)らしい体験ができたと思う。マレー鉄道に乗ったり、マラッカ海峡を見たり、ニョニャ料理を食べたり、雑貨店へ行ったり、本場の文化を知ることができた