標高4095.2メートル、東南アジア最高峰にそびえるキナバル山は、文字通り世界遺産キナバル公園の中心的存在です。ここは古くから地元の先住民族であるドゥスン族にとって、かけがえのない聖なる山であり、数々の伝説に彩られているといいます。
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“キナバル”とは、地元のドゥスン族の言葉である“アキ”=祖先、“ナバル”=場所、に由来しているといわれます。彼らは古くからキナバル山を“祖先の魂が宿る場所”として崇め、安易に近づくことをしませんでした。ドゥスン族の神話にはこんな話も残されています……「雲を創造した神・キノホリンガンと、その妻で大地を創造したウムンスムンドゥ。ところがウムンスムンドゥは、自分が夫より大きなものを創造したことを心苦しく思い、大地を固めて雲に隠れるよう造り直し、夫のプライドを保った。こうしてキナバル山が生まれた」と。神秘のキナバル山はこのほかにも “山の上に棲むドラゴンの宝石伝説”をはじめとして、数々の伝説を生み出しています。
ところでキナバル山が世界遺産に登録された主たる理由は、「世界的に類をみない多様性に満ちた生態系」にあります。熱帯雨林から不毛の岩肌へと標高を追うごとに変化するこの山は、今なお成長し続けているといい、固有主を含む多種多様な動植物を育んでいます。ドゥスン族の人々は木材、薬草、食料、燃料、工芸品の材料など、生活に必要なあらゆるものをキナバル山から享受してきました。例えば、キナバル山には現在までに分かっているだけで、9,000種を超える薬草が分布し、伝統療法に用いられてきました。雄大な山懐には、世界遺産の名にふさわしい豊かな生命と人々の暮らしが息づいています。





