10月号特集 新たな世界遺産ジョージタウン&マラッカを歩く プラナカンの世界へようこそ
東洋と西洋の交差点として、長い歳月にわたり様々な文化が混在してきたマラッカとジョージタウン。そんな土壌があったからこそ誕生し今日まで受け継がれてきたご当地文化がプラナカンの世界です。世界遺産登録にあたりプラナカン文化が特に取り上げられているわけではありませんが、ここが文化の交差点であったことの象徴的存在として押さえておきたいポイントです。
貿易港としての発展と人の往来が新たな融合文化を生み出した

プラナカンとは中国から渡ってきた移民の子孫をいい、男性はババ、女性はニョニャと呼ばれています。古くマラッカ王朝時代から人の往来はありましたが、少なくとも17世紀には初期のプラナカン社会が形成されていたといいます。彼らは主に貿易に従事する男性たちでしたが、19世紀半ばまで中国では女性が国外に出ることが禁じられていたため、初期の移民と地元女性が結婚したことが後の融合文化へとつながっていきます。商売で財を築いたプラナカンも多く、やがてイギリス統治下で発展したペナン、シンガポールへとその活躍の場は広がってゆきます。彼らは中国式の伝統を継承しつつも暮らしの中にヨーロッパ文化を取り入れたり、子女を宗主国へ留学させるなど、独自のライフスタイルや文化を発展させてきました。マラッカとジョージタウンに残る邸宅やショップハウスの佇まいには、プラナカンならではの文化の融合が随所にちりばめられています。

繊細なニョニャの手仕事&料理

プラナカンの世界で何よりも目を引くのは美しいニョニャ文化です。フェミニンな衣装(ニョニャ・ケバヤ)やニョニャのたしなみと言われた刺繍など、マレー式と中国式が融合した美しいスタイルが特徴です。このほか、中国風の絵柄にパステル調の色彩を取り入れたニョニャ食器は今みても新鮮な可愛らしさがあります。また、ニョニャ料理は一見すると中国料理ですがどこか甘酸っぱい味付けやスパイスがきいているあたりが南国風でユニーク。マラッカやジョージタウンにはニョニャ料理レストランが多いので滞在中に一度は足を運んでみるといいでしょう。